夏、いよいよお盆の時期に近づいてきましたね。
今年、初盆を迎えられるご家庭の方も
いらっしゃるかと思いますが、
各宗派ごとのお盆の作法って、
いまいち分からないことって多いですよね。
日本で一番門信徒数が多い宗派はどこかご存知ですか?
それは「浄土真宗」なのです。
江戸時代に、庶民の間で広がった浄土真宗は、
他の宗派と少し違った初盆の作法があるのです。
今回は、「浄土真宗」の初盆のマナーについてお伝えいたします。
目次
浄土真宗の初盆はどう違う?仏壇の飾りは?
そもそも初盆とは、
「亡くなられた方の四十九日が終わった後に、
初めて迎えるお盆」のことを言います。
つまり、
その年の6月25日までに亡くなられた方は、
その年のお盆が初盆。
6月25日以降に亡くなられた方は、
来年が初盆、ということになります。
とはいえ、厳密に日付を分けているわけではなく、
僧侶との相談の上、参列してくださる方への配慮などで、
四十九日の法要と初盆を一緒にまとめて行うご家庭もあります。
そんな初盆ですが、
毎年8月13日~16日の期間のどこかで法要を行います。
浄土真宗以外の宗派での、一般的な初盆の流れでは、
- 13日・・・迎え火を焚いて、死者を迎える
- 14日~15日・・・お墓の掃除とお墓参り
ナスやキュウリを馬などの乗りものに見立てて飾る、精霊棚(しょうりょうだな)、
盆棚、灯篭か盆提灯を飾る。
僧侶を呼び、供養の法要を行う
- 16日・・・送り火を焚いて死者を送る
と、このような流れで行われますが、
浄土真宗の場合は少し異なります。
ほとんどの流れは同じですが、
浄土真宗の場合、灯篭・盆提灯、精霊棚、盆棚は飾りません。
そして、迎え火、送り火も必要ないのです。
地域によっての習慣もあるので、
この限りではありませんが、
本来浄土真宗では、不要のものなのです。
浄土真宗では、
「ご先祖様は、亡くなった後は浄土で仏さまになっているのであるから、この世に戻ってきたりはしないだろう」
という考え方が教えられているためです。
初盆・お盆は、日常の中の延長線上にあるもの、
というのが、浄土真宗での考え方です。
とはいえ、
ご先祖様を敬う行事であることには変わりありません。
初盆、お盆では、他の宗派と同じように、
仏壇・お墓を清掃します。
また、仏壇には、花瓶・香炉・燭台の三具足を置き、
いつもより少し豪華な花と、白い蝋燭を飾ります。
大きい仏壇であれば、五具足でもOKです。
さらに、打敷(うちしき)を出し、
お仏飯と、供笥(くげ)に丸餅(切り餅でもOK)を
2段にして飾ります。
このほか、米や穀物を原料にした菓子類や、
季節の果物などをお供え物として御供えします。
浄土真宗は、お盆の時の仏壇飾りは、
「三具足(または五具足)+打敷などの荘厳(しょうげん)+お供え物」
と覚えておきましょう。
また、盆提灯などの飾りを飾っても、
マナー違反というわけではないので、
地域の習慣などに合わせても問題はありません。
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浄土真宗の初盆で準備すること
では、仏壇に準備するものが分かったところで、
そのほか初盆までに準備することをお伝えします。
≪初盆までに準備すること≫
1、お寺へ連絡して、僧侶の予約をする
お盆の期間中、お坊さんはとても忙しくされています。
初盆の1か月前までには、
必ずお寺へ予約の連絡を入れるようにしましょう。
連絡するお寺は、先祖代々のお墓があるお寺さんや、
葬儀の時に来ていただいたお寺さんへ電話をしましょう。
また、法要の後に、会食へ出席されるかどうかも
合わせて確認を取りましょう。
2、料理の手配をする
法要の後に会食をする場合も、
1か月前には予約をしておきましょう。
仕出しをしてくれる料理屋さんなどに、
「初盆法要で利用します」という旨を伝えれば、
あとはプロが法事用のお料理を作ってくれます。
3、案内状の準備をする
一般的に、初盆だけは、知人や友人も招いて
法要を行うとされています。
葬儀に参列してくださった方を中心に、
会葬者名簿を基に案内状を準備します。
往復はがきか、返信用の封筒を同封した封書で、
すぐに出欠の確認が取れるように出します。
親族だけで行う場合は、電話連絡でOKです。
4、お返し(引き出物)の準備
初盆の法要の際にも、
引き出物はきちんと用意しましょう。
浄土真宗でも、
引き出物の相場は2000円~5000円。
タオルや洗剤など、
実用的なものでお返しすることが多いようです。
引き出物ののしは、
黒白・双銀の結び切、表書きは「粗供養」
または「志」と書きます。
法要の後に会食を行う場合は、
参加する方には引き出物のみを渡し、
参加されない方には、
折詰の料理と、酒の小ビンを別に用意して、
引き出物と一緒に渡します。
5、御布施などを用意する
僧侶へのお布施ですが、
御布施と、御車代の二つを用意します。
会食を辞退された場合は、
御膳料も一緒にお渡しします。
それぞれの相場は、
御布施が30000円程度。
御車代は5000円~10000円、
御膳料は5000円~10000円程度となっています。
お金を入れる袋の表書きは、
薄墨ではなく、普通の墨で書きましょう。
御布施の包み方の正式なマナーは、
お金を半紙の中包に入れ、
奉書紙で慶事の上包みの折りかたをしますが、
無地の白い封筒でもOKです。
渡すときは手渡さず、
お盆に乗せて渡すようにします。
お盆の時期は、お坊さんも、
仕出し料理のお店も、
もちろん参列してくださる方も
忙しくされている時期です。
あわてることがないように、
早めに予約などの準備を行うようにしましょう。
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おわりに
初盆とは、法要ではありますが、
お葬式のように悲しみに暮れる行事ではありません。
亡くなった方やご先祖が
一時的に帰ってくるのですから、
むしろ、嬉しいこととして、
家族みんなで迎える慶事なのです。
浄土真宗では、
日常の中の仏事の延長線上として初盆が迎えられるため、
他の宗派よりは大々的には行われません。
しかし、先祖を迎える心は
ほかの宗派と全く変わりません。
初盆を迎えるにあたって、
何かとあわただしく準備が必要になりますが、
亡くなられた方やご先祖様への心を忘れずに、
準備を行いたいですね。
また、地域によってはさまざまな習慣があるため、
一度周囲や、お寺に相談してみるとよいでしょう。
ぜひ、いい初盆を迎えてくださいね。